漂着の詩


〈流木ブルース.1〉

おれはいつからここにいるのだろう。

誰かこたえてくれないか。

おれはどこから、来たんだろう。

誰か教えてくれないか。

おれは遠い旅をしてきたのか。

誰か語ってくれないか。

おれの胸には風穴が開いている様に風が泣く。

誰にもおれの心は見えない。

時の流れの渦潮に身を任せて漂って来ただけ。

おれはのんびり漂って来ただけ。

おれはひとりぼっちだが、寂しくはない。

今日も潮風に乗った歌声が聞こえるから。

時の階(きざはし)の中に誰かがおれを呼ぶ声が聞こえるから。

今日も気ままに波間に漂っていけるから。

〈おもいで)

流れる木にも心があるのなら

寄せ返す波の唄が聞こえるなら

僕はずっとうたっていよう。

君には僕のうたは届かないけれど僕は歌い続ける

流れる時を追いかけるなら

さらさらと流れ落ちる砂の様に

僕は時を刻んでいよう。

君が年老いた時、僕も一緒に年を重ねる

波間に漂う光が見えるならば

天駆ける馬の鬣の彼方に

僕は夢の続きを見ていよう。

君の想い出が波の彼方に消えてしまうまでずっと

〈海を翔る〉

海を渡る鳥の様に僕は羽根を拡げていた。

自由に大空を飛び回る事が出来た。

だけどある時、僕の翼は折れてしまった。

僕は浜辺に立ちつくし遙か彼方の水平線の向こうに想いを馳せる。

折れた翼で飛ぼうとしても飛べない。

僕はひとり泣いていた。

遠くに自由に飛ぶ仲間達の姿が見える。

僕は大声で叫んだ。

でも仲間達には僕の声は届かなかった。

僕は絶望してこのまま海に身を委ねようと思った。

そして僕は波間に向かって歩き出す。

僕は遠くなる意識の中、誰かが呼ぶ声がする。

気が付くと君がいた。

君と過ごす内、僕はいつの間にか君に想いを抱いた。

君は僕の折れた翼を癒してくれた。

気が付くと僕はまた飛べる様になっていた。

君は笑って僕を見ていてくれている。

僕も笑って君をみた。

折れた翼でも自由な心を持てば 飛べる事を君は教えてくれた。

今度は僕が君に自由な翼をプレゼントしよう。

やがて僕は再び飛び立った。海の向こうに。

僕はまた此処へ必ず戻ってくる。

そして君に沢山のお話しをしよう。

海の記憶と青き想い出と共に。

〈恋)

この気持ちは何だろう。胸が張り裂けんばかりの想い。

貴方への想いが私の心を焦がす様。

寄せては返す波の如く、貴方への想いはつのるばかり。

この世では結ばれないなら何故出会ってしまったのだろう。

海の慟哭の様に深く私の心に流れ込む。

なぜ人は愛するのだろう。波に身を任す様に私の心は漂い続ける。

離ればなれだからこそ見えるものもある。

幾つもの時を越え、やがてそれは何処かへ辿りつくのかも知れない。

愛しくも切ない思いが私の心を満たしていく。

深き青い世界に染められた私の恋心はやがて海の底に辿り着く。

貴方を想える幸せの時と共に波に身を委ねてしまおう。

昨日も今日も、そして明日も。

〈月光〉

月光の光の下で私は想いを馳せる。

それは優しく輝く月明かりにも似ている。

月の満ち欠けの如く私の心は揺らぎ続ける。

今宵の月はとても神秘的。心の奥までも照らされる様。

月を見ていたら、何だか切なく悲しくなった。

月に話しかけたら、ふと微笑みを浮かべたくなった。

月に想いを馳せたら、貴方の事を思い出した。

〈海を翔る.2〉

心の翼を拡げて飛んでお行き。

翼が折れたり飛び疲れたら、風が吹くのを待てばよい。

そして時が来たらまた飛び立てばよい。

広い海原の向こうには何かがあるから。

〈流れ行く時の彼方に〉

今日も明日も僕は流れ行く時を追いかける

それは永遠ではない。時が止まっても永遠ではない。

僕の心は時という階の彼方に立っている。

そこで僕は、静かに叫び続ける。

波の慟哭の中に消えていく想いと共に。

〈10songs〉

僕の歌う、うたには意味がないけれど

優しさが重荷になってしまう事もあるけれど

風き抜ける風と共に、僕は歌おう。

君の心が重さを感じる時、僕は君の重荷を分け合おう

君が悲しみにくれる時、僕は涙をそっと拭おう。

君が嬉しい時、僕も笑っていよう。

君が憂う時、僕も泣いていよう。

君の心が自由を見失った時、僕はその鎖を断ち切ろう。

君の心が迷う時、僕はあかりを灯そう。

君の心が雨降りならば傘を差し掛けよう。

君が時を重ねる時、僕は想い出を語ろう。

君が幸せになろうとする時、僕は幸せを祈ろう。

そして君が旅立つ時、僕はそっと見送ろう。

僕は静かに歌っていよう。この歌を。

君には届かないかも知れないけれど。

心に吹き止まぬ風を感じる限り。

(聞こえるかい?)

can you here me ? 聞こえるかい?

僕も君と同じ歳を重ねたよ。

君は歌っていたね。遠い空の下で。

君がここにいたら今の時代をどう見るのだろう。

明日のことは分からないけれど、今日は明日の始まりであり昨日になる道でもある。

僕は僕のリズムを刻んでいよう。

can you here me ? 聞こえるかい?

僕は大きな空を今日も見る。

君は泳いでいたね。大きな海の中で。

君は故郷の海へ帰れたのだろうか。

明日は今日よりも笑顔でいられるそう信じていよう。泣いた昨日には、おさらばさ。

僕は時のメロディーを奏でよう。

can you here me ? 聞こえるかい?

僕は今日もここにいるよ。地球の上に。

君と過ごした時間はとても長くて短い。

君がいつでも笑顔でいられる様に祈っていよう。

僕に残された時間はどれくらいか分からないけれど今を歩んでいこう。

僕は心のブルースを歌っていよう。

can you here me ?聞こえるかい?

季節が巡るように僕もここで回っていよう。

人は何処から来て何処に行くのだろう。

誰にも聞こえないかも知れないけれど僕は歌おう。

昨日よりも明日は何かが見える気がするから僕は叫んでみよう。

僕は思いを込めてタクトを揮おう。

can you here me ?聞こえるかい?

etc.

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